紫だちたる雲の細くたなびきたる blog

春はあけぼの(をかし)

「デタラメな数字」の根拠

なんかトラックバックがきていました。
震災がれき問題に対し、一体何が答えられ、何が答えられていないか - あままこのブログ
・・ああ、以前、あるブログにブクマコメントつけたのに対するツッコミですね。
私がつけたブクマは
はてなブックマーク - 武田邦彦 (中部大学): しっかり反論:瓦礫引き受け・・・量と濃度の錯覚

数字の計算がひどいと言ったのは、http://takedanet.com/2011/10/post_5a76.html
このページの

福島原発から漏れた死の灰の量は80京ベクレル(公式発表)で、日本人一人あたり約65億ベクレルになります

という記述と

仮に毎日、死の灰を処理できたとしても、毎日65万ベクレルの負担になります。人間は1日約1キログラムの食材、1キログラムの水をとりますので、この死の灰で汚染されたら1キロ30万ベクレルほどになります。食材の暫定基準値が500ベクレル程度であることを考えると、とんでもないことになることが判ります。

という記述。
 GNPや国の借金じゃないんだから、人口で割ってどうすんの。放射性物質がすべて食べ物と水に含まれるという計算がすでにナンセンスというか意味不明。食材の暫定基準と比較する意味がまったくない数字です。
 今、福島や関東で一番気にしなければならないのは空間線量。次に土壌や水質汚染からくる農産物や水産物の汚染です。それらの具体的な数字からしかリスクは計れません。という前提が無視されているので、「数字の計算がひどい」と言ったのです。

さて、上記のid:amamakoさんの私見として

正直良くわかりません。武田邦彦氏については、以前地球温暖化懐疑論を口にしているのを目にして、あまり信用できる人ではないという印象を持っています。しかしid:kuzu_masato氏の反論は、ただ「デタラメ」と言うだけで、何故デタラメかきちんと示していない、情緒的なレッテル貼りに過ぎないとも思います。1kgあたり800ベクレルという記述については、より詳しい説明が不可欠だとは、言えると思います。

という指摘がありました。

まず、言い訳。100文字に具体的な反論なんか書けないです(^^;

「デタラメ」の根拠

  • 放射性物質の総量を人口で割るのはおかしい
  • 焼却により濃度が増えても放射性物質の総量(≒放射線被曝リスク)は変わらない
  • 計算を基準値で行っている。実際は基準値より低い値なのでリスクはそれほど高くないはず

具体的に武田氏の記事に反論してみます。

2) 「量」と「濃度」の錯覚に騙されないように
東京都のある区では「瓦礫の汚染度は低いので大丈夫です」と言い、たとえば1キログラムあたり4000ベクレルなどの基準を設けています。第一の問題点は、この数値は焼却前です。焼却によって体積が10分の1になりますから、濃度は10倍になり4万ベクレルとなります。4万ベクレルはセシウムの場合、法律で除去しなければならないレベルですから、もともと汚染されていない場所に「汚染物質を持ち込む」という結果になり、法律(このブログに示してあります)としても違法行為になります。

焼却によって体積が10分の1になるとします。放射性物質は灰として飛散はしなかったと仮定すると、武田氏がおっしゃる通り濃度は10倍です。では放射線の総量は?放射性物質から発せられる放射線の総量は10倍になるでしょうか?
もちろんなりません。放射性物質の総量が変わらないので、それらが発する放射線の総量も変わらない。
つまり、焼却したからと言って、放射線被曝のリスクは変わらないわけです。それをあたかもリスクが大幅に増すかのような記述がされているので、デタラメだといったのです。むしろ焼却して灰となることで薄く広く飛散しないかの方が僕は心配です。(宮古の瓦礫ならそもそも放射性物質が少ないので心配してませんが)
 汚染基準ギリギリの瓦礫ばかりが常に持ち込まれ続ければ、当然、その焼却灰に含まれる放射性物質の総量も増え続けるので、リスクは増えていくのですが、実際に運び込まれている瓦礫の汚染度はいかほどか?調べてないのでなんともいえないのですが、宮城県宮古市の瓦礫なのでかなり低い汚染度のはずです。(福島第一原発から横浜までより福島第一原発から宮古市までの方が遠い)
武田氏の計算がデタラメであるという根拠はここにもあります。実測値ではなく、基準値で計算している。数百ベクレル/kgの汚染度の瓦礫が10倍に濃縮されても数千ベクレル/kgです。それらは固められ処分場に処分されるため、よほどのことがない限り飛散しません。飛散しないと言うことは、我々の体に入ることはまずないということです。また、処分場に近寄らなければ、空間線量にも影響はありません。

第二の問題点は、1キログラム4000ベクレルというのは「濃度」ですが、その瓦礫を1万トン受け入れますと400億ベクレルになり、受け入れるところの住民の数が1万人とすると、一人あたり400万ベクレルを背負うことになります。これは上の説明でも判るように大変な量です。

この問題点も、指摘している総量の計算はあっている(4000(Bq/kg)を10000tで400億(Bq))のですが・・・GNPじゃないんだから、なぜに住民の数で割る?
この問題点もさきほどと同じく汚染基準ギリギリの瓦礫ばかりが持ち込まれるという前提で計算しているので、間違いといえるのですが。

また、「1年1ミリシーベルト以下の被曝にしかならない」という説明もあるようですが、被曝は足し算で、食材の暫定基準値だけでも1年5ミリですから、水、普通の空間(例えば山形の場合は、0.125マイクロ×8760=約1ミリシーベルト)などを足しますと、子供たちが1年10ミリに近い被曝を受けることになります。

これも同じ間違いを犯しています。

食材の暫定基準値だけでも1年5ミリ

が嘘。常に基準値ギリギリの食材を食べ続ければ1年5mSvに達すると仮定しても、実際には基準値ギリギリの食材はあまり流通していません。
東大の早野教授らを中心に給食の丸ごと検査をはじめたところが何カ所かありますが、いずれもほとんど検出限界値以下だったと記憶しています。
つまり子供達は内部被曝に関してはほとんど心配ない。

以上、「デタラメな数字」の根拠でした。